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鈴木富夫
昭和14年新潟県村上市生まれ。
昭和37年(株)講談社入社。「週刊ヤングレデイ」「週刊現代」編集長のあと学芸図書出版部長。この時、超ベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」「気くばりのすすめ」など刊行。広報室長、第一編集局長などを経て取締役。
平成16年退任後、出版倫理協議会議長、東京都青少年健全育成審議会委員など。平成26年12月退任。
平成16年3月、偽造キャッシュカード事件の被害発覚(3,200万円は当時、日本一)。同年5月、妻晟子に6年介護の末、逝かれる。8月、東京地裁に銀行2行を相手に、訴訟を起す。平成17年3月、銀行2行が全面補償で和解成立。
18年5月、郷里村上市の隣、(旧)朝日村上中島で、本を読む塾「けやきぶんこ」を設立。 毎月10日ほど出かけている。

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2009年11月06日(金曜日)更新

第41号 山崎豊子「沈まぬ太陽」全5巻を読む

 冬の足音、確実に来ている。4度目の冬。一面の冬田道、三面川にも釣人は、いない。今回は、山崎豊子著「沈まぬ太陽」(新潮文庫全5巻)の第1巻(アフリカ篇・上)と、「ちょい太でだいじょうぶ」(鎌田實著・集英社文庫)の2冊を読んだ。
 山崎さんの作品は、書けば必ず話題、問題作となる。「白い巨塔」「不毛地帯」「大地の子」など、映画・TVで何度も映像化されている。今回の「沈まぬ太陽」も映画化(渡辺謙主演)されたし、何より小説の国民航空は日本航空(JAL)のこと、いま、会社がどうなる、で連日、新聞TVを、にぎわし、社会問題となった。タイミングは、丁度いい、と思った。ニュースの見方が変わるだろう。
 鎌田先生の「ちょい太でだいじょうぶ」は、いわゆる健康の“How to”ものだが、私、新聞広告で買い、すぐ読んでみた。以前、友人の柳田邦男氏から、蒲田實氏の活動、聞いてはいたが、いま長野が、全国長寿県No1、そこまで、諏訪中央病院長の蒲田さん、やっちゃった、なぜ出来たの? それが知りたかった。その上、医療費もいちばん低い。長野県より新潟県の方が、はるかに恵まれているのに。塾の皆んなに、わかってほしかった。
「沈まぬ太陽」で書かれた日本航空という会社、私、民営化前から知っている。友人づきあいしているOBが何人もいる。あらためて読んで、社内、よく黙っていたな、と思う。政治家の利権とは、どういうものか、まで解る。彼らは、こんな渦中にいたのか、とも。全5冊、この後は、2冊ずつ読んで、年内に読了したい。もう24年たったJAL123便御巣鷹山篇は第3巻である。この日航機墜落事件、520名の犠牲者を出したが、「けやきぶんこ」では、横山秀夫著「クライマーズ・ハイ」(文春文庫)で、新聞記者にとっての事件は、すでに読んでいる。皆んな、どんな反応をするか、楽しみ。主人公恩地元について、女性は、皆さん好感をもち、男性は、少し違う。巻が進むにつれて、更にどうなるか。塾長の私は、黙って見ている。
 

2009年10月07日(水曜日)更新

第40号 あの“ムルアカ、アッキー”が塾にやって来た

 この秋、いちばんよい10日間だった。天気も秋晴れ、恐怖の落葉には、まだ少し時間がある。塾に着いて、まずやったのは、わが塾の岨道沿いに自生している秋茗荷を獲ること。農作業の師匠、隣家の板垣昭司・シン夫妻が、指導、手伝ってくれる。もう3年目、茗荷を見つけ方、とり方は、わかっている。洗い方は、シンさん。「此処の、大きくていいよ」と昭司さん。作業は午前中に終る。今年、私は、東京の友人、20人に送った。袋詰め、宅急便の宛名書き、640円×20の料金、ホント、ヤレヤレ。ヤマトのお姐さん、驚いていたよ。酒飲みなら、皆んな茗荷好きだもの。
 今回は、宮本輝「優駿」(上下2冊・新潮文庫)だった。競走馬オラシオンをめぐる馬と人間のドラマ。宮本さんの代表作のひとつ。「競馬シーン」、TVの実況のように、絵になっているだろう。文章だけで、それをやってる。宮本さんの凄さだよ」私、いってる。塾生の皆んなも、ほとんど、精読してきた。私たちの知らない世界が、文庫2冊に書き込まれている。なにしろ、この広い田舎(旧朝日村)でも、もはや農耕馬は、一頭もいないのだ。人によって作られるサラブレッドの哀しみも、文章から読みとれる。いい作品。
 最後の十薬組(土曜日)を終えて、私、ビールパーティを、塾でやった。準備はノブコ、チヨミさんら、手慣れたもの。その日、異色のお客さんが、塾に来た。コンゴ生まれ、2メートル9センチの巨人で大学教授・ムエンテ・ムルアカ氏と、元首相夫人・安倍昭恵さんのふたり。5年前、アフリカ“極貧地域”視察の旅を、いっしょにした。以来、ときどき会って、めしと酒。
 ムルアカ夫人は、新潟・長岡の出身、その日、法事があり、終了後、彼ひとり、車を駆って来た。昭恵さんは、新潟国体。山口県(晋三氏の故郷)の薙刀連盟の会長の由で、長岡泊り、そのついでに、新幹線・特急と乗り継いで、北端の村上にやってきた。もちろん、ふたりとも、初めて。ふたりの歓迎パーティだね。乾杯したら、もうキャァキャァ、ワーッの嬌声ばかり。皆んなカメラとり出し、撮影会だよ。ミーハーだなあ、とは思うけど、興味、好奇心は、教養の始まり、と、私、納得。
 

2009年09月08日(火曜日)更新

第39号 3周年祝賀会、立派な文集も出来ましたよ

 ベルンハルト・シュリンク著「朗読者」(新潮文庫)を夏休み、8月に読む。いまの日本で(平和ボケの)、6日広島、9日長崎の原爆の日、そして15日に終戦日とあって、戦争について、あらためて考える行事やイベントがある。新聞・TVも企画されている。ちょうどよいと思った。「朗読者」は、映画化され(愛を読むひと・映画題名)、評判は凄くよかった。ふだん私たちが、ほとんど口にしない戦争、あのとき日本の同盟国・ドイツのその後の話。ナチスに熱狂した国だから、傷もいろいろある。そんな話を、塾生皆んなとした。ともかく日本は、あのあと、若者を戦場に出していない(つまり戦争をしていない)。はや60年を過ぎている。「そんな国、先進国に、ほとんどないよ」必ず、私、いっている。だから、わが自衛隊、弱いだろうね、ともつけ加える。各組、いいように終る。
 8月22日、塾から車で10分の市営「みどりの里」で、「けやきぶんこ3周年祝賀会」が、あった。川村公一委員長以下、皆んな気を合わせて、準備したらしい。細かいことは、正直、私、知らなかった。その席で、「開設3周年記念文集」が配られる。立派な出来。私、エライ、といったのは、塾生46人が、全員、文章を寄せていること。「よく集めたねえ、書いたねえ」である。この宴会場で、1周年のときも集まったが、座ってすぐわかる。やはり、毎月1回、3年たった。塾生皆んなが、なごんでいる。暖かい。合わせて、私、70歳、古稀の祝いもやってくれた。なんと紫のちゃんちゃんこ、帽子まである。古稀は紫か、初めて色を知ったよ。そして、藤間流の名取り先生の外間サキさんと弟子のノリコさんの日舞から始まった。本格だよ、最初から本格だよ。私を含め、男はボーッと見とれるだけ。「この後は、やりにくいよね」隣りのゼンイチさんと話していたが、各組準備OK、待ってましたと、やって見せる。歌う踊る、それぞれ工夫をこらして。
 ホント、嬉しかったなあ、私、3年は短くは、ない。覚悟して真面目に、今後も続けます。サドンデスで。67歳からの新たなつきあい、私には大事な、おつきあいが、始まる。
 

2009年08月06日(木曜日)更新

第38号 「小5の孫」がひとりで村上にやってきた

 太宰治「斜陽」と「人間失格」(ともに新潮文庫)の2冊を読んだ。奥付をみると100刷を超えるロングセラー。「なにも生誕100年で、急に売れたものじゃないよ。ここまで読んできているのは、若い人、とくに女性だ。なぜだろうね。ふつうに考えれば、こんなに次々と女と事件を起す男、たまらないよ」太宰作品の映画化、TV化も進んでいるという。私にとっては、初めて作家の個人全集を揃えたのが、太宰治なので、懐かしさ、いっぱい。文章も歯切れよくっていいなあ。
 俳句を含めた5クラス終えた翌日、私の孫小5の遼太(10歳)が、ひとりで村上にやってきた。新幹線「とき」と特急「いなほ」を乗り継いで。私は昔から(息子のとき)、幼児語、子ども会話は出来ない、しようとも思わない。優しい祖父では、ない。でも、遼太には、「お前、ひとりでも来れるか」と1年ほど前から、いっていた。それが、この夏、実現した。ふたりで、会話した経験、ほとんどないのに。2泊3日。私の方が、少しドキドキしてた。
 初日は、小雨の中、村上のシンボル(と、私、思っている)お城山に、登った。135メートル。遼太は、トントン先に行く。私、あとからゼエゼエ、大汗。「ちょっと待て」を連発して。その夜の晩めし、私が、つくった。食後、良太は道場で2時間、勉強。さて、何処に、お前は寝るか、と聞いた。「けやきぶんこ」は、ロフト(2F)あり、4、5人は泊まれる。遼太、下を向いて、私のベッドルームが、いい、という。ふたりで、2Fから寝具をおろし、寝床を、つくってやる。安心したんだねえ。何しろ、塾の外は、灯りひとつない緑の闇だもの。
 2日目は、私の軽自動車ジムニーで、山形・米沢へ。NHK大河ドラマ「天地人」のこれからの舞台。上杉家代々の廟所(私、大好き)や直江兼続、お船の墓のある林泉寺を、めぐる。孫は前夜から地図を見て、ナビゲーターのメモをとる。ちゃんと役に立った。帰りは、午後5時近い。「何処でめし、喰うか」といったら、遼太、「おじいちゃんのウチ」という。「俺、またつくるのか」答える私、笑っている。私、頼られ役に立っている。2泊3日、いい休日になった!
 

2009年07月09日(木曜日)更新

第37号 太宰治「斜陽」「人間失格」2冊を手術後に

 新緑がいちばん綺麗ないま、「けやきぶんこ」は、4年目に入った。われながら、この3年休みなく、毎月通えたと思う。たぶんに私の思い込みだが、達成感は、ある。新たな年度に入るに当って、皆んなに、いった。「休みなく、4年目に入る。皆さんが、待っていてくれたから出来た。これからどうするか、少し考えた。読んでほしい本は、たくさんある。しかし、私は、8月に70歳(古稀)となります。活舌もワルくなった。結論をいえば、続けます。これからは、(1)私は、サドンデスでやります。何が起きるかわからない。7月初めには、両目白内障の手術もやる。他にも出てくるだろう。突然試合終了が、ある。私、その覚悟です。(2)会員名簿にあり、会費も納入、しかし欠席が続いている人、4〜5人いる。この人たちには、退会してもらう。(3)私の「けやきぶんこ」で最後に読む本は何か。私、ほぼ決めている。世界最高の小説、そこまで、何とかつなぎたい」。
 そんなことを、5組の皆んなにいい、満了年でもあるので、「けやきぶんこ」全員の文集と、俳句組の句集(三回目)をつくることにした。8月末完成予定。編集担当も決めた。彼らは、仕事しながらである。どんなものになるか、楽しみ。
 4年目のスタートは、A・J・クイネルの「燃える男」(新潮文庫)であった。傭兵クリーシィのマフィア相手の死闘。読みやすいし、細部のデータがしっかりして、塾長の狙い通り、大受けだった。
 そして今月、白内障の手術をして、「キミらの厚化粧の素肌も見える」ようになったかどうか。太宰治著「斜陽」「人間失格」(ともに新潮文庫)の2冊。生誕百年でニギヤか。映画化TV化も何本もあると、いう。太宰の代表作の2冊である。太宰治の全著作、昔、乏しい小遣い工面して、筑摩書房全集を、そろえた。そして、太宰の文章のリズム感。ピッタリ来て、ずい分、書き写した。私の文章の手本、師匠だった。その彼の作品。太宰の倍生きた私が、あらためて読んでみる。
 
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