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仲達 広
1932年生まれ
早大卒。 娯楽系出版社で30年余週刊誌、マンガ誌、書籍等で編集に従事する。
現在は仙台で妻と二人暮らし、日々ゴルフ、テニスなどの屋外スポーツと、フィットネス。少々の読書に明け暮れている。

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2019年08月09日(金曜日)更新

第560号 〜お手軽心身リフレッシュ法〜

 松島海岸にたいへん大衆的な温泉ホテル"S"がある。総4階建てのL字型の建物に、客室総数133。観光施設の中心部の瑞巌寺や五大堂、観光船桟橋、それにJRの駅などからちょっと離れてはいるが、いずれも歩いて行ける範囲内だ。現に"S"の隣には作並温泉一の有名ホテル"I"の姉妹館もある。

 "S"は観光ホテルとしては中規模だが、松島周辺ではかなり大きいほうだ。来客用駐車場も広いし、3階まで吹き抜けのロビーも広い。ロビー奥は大きなはめ込みガラスを通して広々とした中庭から松島湾まで見渡せる。海は客室からはもちろん、大浴場外の露店風呂(男女ともある)からも見える。
 観光地の宿で「景色もご馳走です」とうたっているところがよくあるが、松島なら"T"がそうだ。海際の国道から曲がりくねった急坂を上った高台に建っているホテルで、もちろん部屋からの眺めは素晴らしい。ところが海側と山側の客室では宿代が違うのだ。それに"S"と違って温泉じゃないし、浴場からの眺めがいいわけでもない。一度だけ泊まった後は、最上階のレストランをランチでたまに利用するだけになった。
「松島は扶桑第一の好風にして、洞庭・西湖を恥じず。」と『奥の細道』にあるとおり、ここは昔から有名な観光地だったが、宿泊施設は少なかった。仙台から電車で1時間足らずだし、旅館に付き物の温泉が湧いていなかったせいもある。首都圏などからやってくる観光客は、名所旧跡の見物や島めぐり遊覧船をお昼をはさんでゆっくりすませて仙台に戻り、秋保や作並の温泉ホテルに泊まったものだった。ちなみにこの地で温泉を掘り当てたのは2007年、ほんの12年前で、いまは温泉ホテルも7軒になった。

 私たちが"S"を気に入っているのは宿代の安さだ。ネット検索すると「直前格安プラン」なんてのがあって、秋保や作並の半値ぐらいになる。といって宿泊の内容がガタ落ちするわけじゃない。部屋のたたずまいや調度品など細かい個所にグレートの差は見えるが、温泉に入ったり寝たりする分には問題ない。違いは料理ぐらいだろう。しかし料理も昨今はたいていのホテルがバイキングスタイルだから、私みたいな動物性タンパク質大好物はそれだけ狙って口にすればいい。素材のランクも調理の良し悪しも関係なく、気分よく食べられれば十分、安いほど有難いということである。
 このホテル"S"をよく利用するようになったのは8年前の大震災以降だ。それまではもっと石巻に近いかんぽの宿や、温泉に漬かりながら太平洋に昇る朝日が見える南三陸のホテルなどに行っていたが、それらが津波でやられて、近くて宿代も手頃な"S"を見つけ、二人とも気に入ったのだ。

 とにかく、こういう小旅行は日頃の息抜きにいい。特に残暑のこの季節は尚更だ。冷房の効いた館内で20時間近くのんびりできるのだから、頭も体もリフレッシュされる。こいうことも健康で老いる秘訣だと思う。
 

2019年08月02日(金曜日)更新

第559号 〜カラオケ&ゴルフに再挑戦!〜

 先月20日の土曜日から小学校が夏休みに入ったが、私は毎朝ベランダで1時間ほど体操をしているのに、週明けの火曜日までまるで気付かなかった。ベランダのすぐ目の下、団地のメイン通りをはさんだ向こう側にスクールバスの駐車場がある。乗って行く子どもたちが空のペットボトルを蹴る音や甲高い叫び声が、天気さえよければ聞こえるのだが、なにしろ今年の梅雨は晴れた日が少なかった。子どもたちもバスの中にいることが多く、「あれ、今日はいやに静かだな……そうか夏休みになっていたのか」というわけだ。

 とにかく7月は愚図々々と鬱陶しい空模様続きに加えて、大規模修繕工事で組み上げられた足場の外周にメッシュの網が張りめぐらされ、気分が"滅入ることおびただしい"なんて、大時代な言辞まで弄したくなるほどだった。なにしろ、たまにしか行けなくなった(家内が腰を痛めてできなくなったので)ゴルフも2度雨天中止だったし、土日のテニスも3回だけだ。当然ながら墓園歩きにも出かける意欲は薄れるばかりとあって、自慢の足腰もナマる一方、これじゃあ頭のはたらきも鈍化しかねないなと心配になった。
 以前、われわれ年寄りの気力体力は冬場や梅雨時に衰え方が加速するんじゃないかと書いたことがある。寒さや長雨のため日常の活動がそのすぐ前の季節ほどにはできなくなるせいで、特に梅雨時の冷えは、晩春から日増しに暖かくなって気持ちも体も前向きになってきた出鼻をくじいてしまうのだ。それに今年は西日本の豪雨や三陸沿岸のやませ(冷たい東風)など梅雨寒も例年以上だったから、さすがの私も仏滅三隣亡なのである。

 とはいえ、こんなときこそモノをいうのが私たちの前向き楽天志向だ。「やまない雨はない。カンカン日射しがやってくるのもすぐだから……」と、憂鬱な雨の日でも楽しめること、パァッと思い切り発散できることを考えるのだ。
「カラオケ行かない?」家内の提案に私は即OKした。ここ2〜3年、家内はほとんど歌っていない。耳が少し遠くなり、自分の声が自分の声に聞こえないからいやだというのだが、プロじゃあるまいし誰かに聞いてもらうわけじゃない。どんどん歌えばいい……ということで早速出かけた。そしてカラオケボックス傍のスーパーで酒と飲み物や食べ物を買って持ち込み(持ち込みOKの店)、二人で代わり番こに声を張り上げて3時間、いい気分になって帰ってきたのだった。
 また、これに気を良くした家内が今度はゴルフを計画し、コースも予約した。腰痛とひざ痛で2年近いブランクがあってのラウンドだが、気持ちが前向きなのでまあ大丈夫だろう。

 カラオケもゴルフもその他の行楽も、いまわれわれ年寄りは現役世代よりはるかに格安で楽しめる。必要なのはそこそこ達者な体と前向きな気持ちだけだ。この夏も大いに楽しもう。
 ただし、子どもたちや現役世代のせっかくの夏休みを邪魔しないように。
 

2019年07月26日(金曜日)更新

第558号 〜持ち家が邪魔になってくる?〜

 いま私たちのマンション団地は大規模修繕工事の真っ最中だ。4階建て9棟すべての周囲に屋根まで達する足場が組まれ、その外周に屋根の葺き替え工事で発生する粉塵の飛散防止用メッシュネットが張りめぐらされている。このため室内は晴れた日中でも薄暗く、また足場やベランダを作業員が時々行き交うので気分も落ち着かない。とにかく年末工事終了までは我慢である。

 この工事をきっかけに考えさせられたことがある。われわれの住居=家に関することだ。
 大規模修繕工事は、一言でいえば建物のリフォームだ。経年劣化した個所を補修して見た目をよくするとともに住環境の改善を行い、資産価値を高める、いや低下を防ぐのが目的だ。だがいまやこうした目的は只の"お題目"でしかない。
 近年はマンションも戸建ても新旧ひっくるめて、12戸に1戸が空き家だという。もっともこれは住民がほとんどいなくなった僻地を含めての数字なので、ここみたいに一応都会のマンションでは居住率も少し高く、20戸に1戸ぐらいだ。そのため中古住宅はなかなか買い手がつかず、価格は下がる一方になっている。
 こうした現状をもたらした要因は現代日本の社会構造そのものにある。すなわち人口減少と少子高齢化に加えて高い相続税などだ。実際、いま東京で(日本全体でも?)一番の高級住宅地として知られるかの"田園調布"でさえゴーストタウン化が心配されているのだ。いわんや私が"自然環境は最高だが生活環境は最低"とよく冗談半分ヤケ半分で評しているこの団地の好ましい将来像など、私の時代遅れかつお粗末な知識や想像力では簡単なデッサンさえ思いつかない。ゴーストタウン化どころか"スラム化するかも……"とさえ心配しているのである。
 私は別に大規模修繕工事の要不要をいっているわけではない。マンションの建物にとってこうした工事はいわば"行事"なのだ。お盆やクリスマス、誕生日といった世間的個人的な行事と同じもの、ひとつの"区切り"だ。要不要は当事者の受け取り方次第だろう。

 本題に戻る。住居=家については、私は持ち家を一種のステータスシンボル、人生の目標にしてきた世代である。私自身にしても折からの高度経済成長に便乗して、40代はじめ横浜の日吉に文字どおりの"兎小屋"を持つことができた。転居祝いに来てくれたF社のゴルフ仲間が「この住所はフロントで署名するとき気分いいですよね」といったのを覚えている。
 ただ私たちより下の世代がどのあたりまで、そうした持ち家願望があったのかはよくわからない。ちょうど30歳離れた息子など、見るからに"成りゆき"で昨今話題の豊洲にマンションを持ったものの執着はまるでなさそうだ。もっと若い世代ならもっと割り切った考え方をしているかもしれない。
 そういえば某評論家によると、これからは持ち家より賃貸が住居に対する賢明な考え方だという。いまの住宅事情を見るとこの考え方はかなり説得力がある。私がF社に入って間もない頃、ある有名作家の楽しみが"普請道楽"と聞いて目を丸くしたことがあつた。ほんの半世紀ちょっと前のことだが、いま思えばまさに隔世の感がある。
 こういうことを書いておくのも年寄りの務めだろう。
 

2019年07月19日(金曜日)更新

第557号 〜干からびるよりましだろう〜

 このところ腹筋運動に精出している。
 ひと月ほど前「冬物と入れ替えた夏物のパンツをはくと、去年より裾のたるみが多くなったようで、ひょっとして足が短かくなったか?」と書いたが、実はそれと同時に胴まわりがいささか窮屈な感じもあったのだ。特に去年一度もはかなかった、ちょっとおしゃれな夏物のジーパンをはいたときがそうだった。洋服ダンスの中でハンガーにぶら下がっているだけで縮むわけないし、まさかこの年でメタボになり始めたかと唖然とした。

 そういえばこの春の終わり頃から入浴後鏡に映った体を見ると、へその上あたりが何となくポッコリしてきた感じがあった。私はいわゆる"シックスカット"と自慢できるほどではないが、腹筋は一応締まっている。それがドラ焼きをつまみに甘いチューハイを飲んだ後みたいに、あばらの下の胃袋が丸くふくらみ、へその下ベルトのあたりまで及んでいるように見えたのだ。
 はじめのうち私は、これは左ひざの故障と寒い季節のせいで山歩きが少なくなったからだろうと思っていたが、ある日突然まったく別の原因に気付いた。義歯だ。3ヵ月ほど前から義歯と折合が悪くなり、つい2週間ほど前まで食べることに苦労していたのである。

 私は子どもの頃からムシ歯が多く、大人になってからも縁が切れなかった。30代後期あたりからは悪くなった歯を次々と抜かれて、いま生来の歯は上下で12本しかない。したがって上下とも大きな義歯が入っているのだが、厄介なのが下のほうだ。下は前歯がけっこう残っているので義歯は左右の臼歯だけ、その左右のブロックをつないでいる金属が前歯内側の歯ぐき部分にかすかだが当たるのだ。
 歯ぐきの表面はやわらかい粘膜だが内側はけっこう固いので傷つきやすい。かすかな刺激でもピンポイントに繰り返されるとすぐ腫れて痛み出す。腫れは指先でさわってもわかるほどになる。そのかすかな刺激をつくりだすのが食べることだ。たとえば固い肉や魚の干物、乾燥フルーツなど弾力があるものを噛み続けていると義歯にその動きが伝わり、当たっている個所に繰り返し刺激を与えるようになるのだ。
 この粘膜の傷に対する私が考案した治療法は"イソジン"を綿棒につけて塗りつけるものだ。あの赤黒い水薬は皮膚などの傷によく効き、家庭の常備薬になっているが、粘膜だって皮膚と似たようなものだろう。"イソジンのどあめ"や"イソジンうがい薬"なんてのもあるのだから、口の中に使って悪いわけない。ただ直接飲み込まないように気をつければいい。2〜3年前同じように義歯の金属部分が歯ぐきに当たって初めて傷ができたときから私はイソジンで治してきた。

 そこで今回も手慣れたイソジン治療法を始めたのだが、今度の傷はなかなか頑固で一筋縄ではいかなかった。毎食後上下の義歯を外して口内や歯をきれいにして薬を塗ってもなかなかよくならない。そこで終盤は下の義歯をずっと外しておいたら、回復が一気に早まったのだった。そんなわけで2ヵ月以上にわたって食べ物をよく噛まずに胃袋に送り込んでいたことが、腹部ポッコリにつながったのではないかと推察したのである。
 だがもう大丈夫だ。これからは以前どおりよく噛んで食べ、腹筋運動に精出せばおなかも締まってくるだろう。

 それにしても米寿なかばでメタボを心配するとは思わなかった。イヤハヤ!
 これは半分自慢であり、ホンネでもある。干からびるよりはましだろう。
 

2019年07月12日(金曜日)更新

第556号 〜一読 十笑 百吸 千字 万歩〜

 かつてF社の編集部にいて定年退職、いまは湘南でゴルフ三昧というK君から先月末、私家版エッセイ集『僕のゴルフ奮闘記』が送られてきた。
 K君は私より20歳ほど若いが、兄さんがプロゴルファーということもあって、スポーツは若い頃からゴルフ一辺倒、野球もスキーもやらなかったし、仕事でもほとんど縁がなかった。ゴルフも社内コンペで一緒に回ったことがあったかどうか……。だから在社中はお互い顔は知っているという程度の関係だった。それが私家版をわざわざ送ってくれたきっかけは"奇遇"である。

 先月なかば、私たち二人は元F社のスキー仲間たちと総勢10名、那須の会員制ホテルに泊まって温泉とおしゃべりを楽しんだが、その翌朝、広い食堂の一角でバッタリ出会ったのだ。彼は奥さんと二人で前夜は宿泊だけ、当日はどこか観光ドライブしてもう一泊する予定だった。前述のように彼は私とはあまり縁はなかったが、スキー仲間たちとは同世代だ。それに仕事も遊びも人一倍楽しもうという姿勢が共通していたようで、食後もコーヒーカップを前に話がはずみ、「本を初めて書いたので、送るから読んで下さい」と、われわれの住所をメモしたのだった。
 日時といい場所といい、あのタイミングが"すれ違い"にならなかったのはホント奇遇というしかない。

 本は四六版ハードカバー、カバーの上に上質アート紙のジャケットをかけた立派なつくりだ。本文240ページも一般の市販本には滅多に使われない厚手の上白紙。それにエッセイ52編と"はじめに""おわりに"の挨拶が収めてある。エッセイは各編4〜6ページ、文字は一般の書籍より大きいし、行間や天地の余白も十分とってあり、たいへん読みやすい。また各編の合い間にはコースの写真があり、余白には本文を要約した書き文字、たとえば"トラフグズワイガニ食べた〜い!"やヘタウマ風イラストカットが入っていて、息抜きになる。ちなみに、これらの書き文字とイラストは彼の小学校の孫が作者だ。そしていつかこの少年とラウンドするのを楽しみにしているという。
 内容は20歳から始めてキャリア半世紀近いゴルフに関するあれこれ。ホームコースのこと、自分や仲間のプレーのこと、技術のこと、将来の夢など。多少ともK君を知っておりゴルフに興味がある者なら、楽しく読めるのではないか。40歳から始めたのでキャリア的には彼とほとんど同じ私も参考にしたいところがいくつもあった。

 中でもたいへん興味をひかれた個所がある。「一読 十笑 百吸 千字 万歩」という言葉だ。どこかの大学病院の名医センセイの言葉だそうだが、60代まで病院にあまり縁がなかった私は寡聞にして知らなかった。意味は簡単、1日1回ちゃんとした文章を読む、10回腹の底から笑う、百回の深呼吸、千字ぐらい書く、万歩ぐらい歩くである。
 言ったのがお医者さんなら健康や長寿の秘訣みたいなものだろう。まったくおっしゃるとおりで、このうち4つは私も日々実行している。「当年とって米寿です」と胸を張って言えるのもそのおかげだ。実行していないのは十笑、年のせいか近来よく癇癪を起こすので、笑うことが少なくなっているのである。これはいけない。
 現代は世界中にヘンな奴がウロウロしているので、笑いのネタはいくらでもある。これからはそれを常時ストックしておいて、いつでもすぐ思い出せるようにしておこう。ボケ防止にもなるはずだ。
 
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