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安田健介
弁護士・S13生まれ 京都在住
同人誌「奔馬」編集長

このたび、ユーモアクラブ支配人の児玉さんと再会し「私を笑わせた話たち」を連載することになりました。人間のつながりは、不思議なものですねえ。私は関西人間、児玉さんは北海道人間、昭和39年に双葉社という出版社に私、入社しまして3年で退社しましたが、その間のつながりです。
でも空白が長く40年以上の時をへだてた再会です。これぞ、まさに情報化時代の付合いのあり方でしょうか。
私は、「笑い」については、相当の関心をもってきましたので、それを発表できることは嬉しいかぎりです。
どうか、宜しくお付合いください。

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弁護士 安田健介が日々考えていること

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2010年09月03日(金曜日)更新

第162話 徒然草 62話

 徒然草から離れた話を「休憩時間」に話しています。これらは多重認識という「笑いの素」が兼好さんと共通しているからです。
 金子みすずさん然り。今日はこないだ幽明堺を異にした「井上ひさし」さんの一文を紹介します。

 新潮文庫「自家製文章読本」72−73ページ。(引用文)
 いま、「裸の大将放浪紀」全四巻を机上に積み上げ、目隠しをしてばらばらと頁をめくり「直喩、直喩、直喩」と三回唱え、唱え終ったときに開かれていた頁を書き写すことにしよう。もしその頁に直喩があったら、死んでお詫びをする。直喩、直喩、直喩、、、。開かれていたのは第四巻の109頁だ。

 朝になって、起きて歯をみがいている時、おばさんがぞうきんがけをしていて、その時おばさんのひざとひざの間から腰巻が見えて 腰巻からおまんこが見えていたので おまんこを少し見ていたら おばさんがおまんこをかくしてしまったので ひざとひざとの間からおまんこが出たのを思い出すと おかしくなってしまった。 朝食がすんで 外へ行って 絵に色をぬっていたら しばらくたって小雨が降って来たから家の中に入って絵に色をぬりながら あばさんと話をした。 おばさんは下に腰巻をはいていてずろーすはいていないので ふるまただから こんな話をするとおばさんは何と言うかと思って おばさんと話をして「おばさんはずろーすはいているか はいていないか」と言ったら おばさんが「ずろーすははいている」と言われたので「今朝おれが歯をみがいている時 おばさんがぞうきんがけをしていて ひざとひざの間からおまんこが見えた それでおばさんはずろーすはいていない」と言ったら おばさんが「そんな話はしちゃいけない」 ふつうの話をしろ」と言われておばさんが笑っていた。  (以上)

 この話が「私を笑わせた」のは、もちろん、井上ひさしさんの「枕」です。あたかも、偶然開いた頁であるかのようにレトリック使ったのです。
 

2010年08月31日(火曜日)更新

第161話 徒然草61話

 今まで、兼好さんの「徒然草エッセイ」を語ってきました。彼の「無常」にしろ「世捨て」にしろ「笑い」にしろ、すべて「多重思考」が底流にあるのです。その魅力ゆえ「徒然草」は今も読み継がれているのです。 

 
 小林秀雄さんが、「兼好は誰にも似ていない。長明なぞには最も似ていない」と言ったのは、多重認識性の有(兼好)無(長明)でしょう。

 私も兼好さんの勝手弟子ですが、金子みすずさんも同じ遺伝子をもっていました。

 前々話「大漁」は誰にも分かりやすいけど、前話「昼の星」はびっくりでしょう。こんなこと考えた人はメッタにいないでしょう。昼の「月」だって知らない人がいるかも。これはその気になれば目で見える。まして、昼の「星」など誰にも見えない。しかし、空の彼方には確かに星があるのだ。太陽のため、見えないだけだ。夜になって、太陽が沈んで雲もなければ星が輝いて見えるのだ。

 ただし、金子みすずさんは、そこまで考えなかったであろうことがある。それは何か。昼の星は太陽に面した空の星だが、夜の星は太陽の反対の空の星というチガイだ。
 
 だから、夜見える星が「北斗七星」でも、昼見えない星は「南十字星」かも。
 

2010年08月27日(金曜日)更新

第160話 徒然草60話

 故金子みすずさんは、兼好さん、福澤諭吉さん、初期の夏目漱石さん等と同じく多重思考(笑いの素)に長けています。
 そこで、金子みすずさんの多重思考の誌をいくつか紹介します。

 青いお空の底ふかく
 海の小石のそのように
 夜がくるまで沈んでる
 昼のお星は目にみえぬ
 見えぬけれどもあるんだよ
 見えぬものでもあるんだよ
 

2010年08月24日(火曜日)更新

第159話 徒然草59話

 前話、前々話は、カツオの話でした。
 今から700年前、1300年頃、兼好さんの生きている頃に、カツオが人間の食べものとして定着したという。

 したがって、カツオの社会にとっては、対策が協議されたと想定した(そんなことはない)。

 こういう想定は人間によう想定だ。

 イワシの社会の大変な想定を、故金子みすずはしている。

  大漁
 
 朝焼小焼けだ
 大漁だ
 大羽いわしの
 大漁だ

 浜は祭りの
 ようだけど
 海のなかでは
 何万の
 いわしのとむらい
 するだろう
 

2010年08月20日(金曜日)更新

第158話 徒然草58話

前話は、徒然草119段(話)。

 鎌倉の海に、鰹(カツオ)と言ふ魚は、かの境には、雙(さう)なきものにて、この頃もてなすものなり。それも、鎌倉の年寄の申し侍りしは、「この魚、己から若かりし世までは、はかばかしき人の前へ出づる事侍らざりき。頭(かしら)は、下部も食はず、切りて捨てはべりしものなり」と申しき。かようの物も、世の末になれば、上ざままでも入りたつわざにこそ侍れ。

 
 ああ、カツオにとって、700年前、1300年頃が運命の分かれ目だったのだ。
それまでは、人間により、あまり見向きもされず、平和な世の中だったのに、それ以降、人間も天敵となり、天敵にとられる分、余分に子孫を生まなければならなくなった。
 
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