トイレマーク見てある記

タウンウオッチングだと言い訳しても
エロ爺だろう!の視線を浴びて

 
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大熊昭三(おおくま しょうぞう)
1928年、埼玉県生まれ。名古屋陸軍幼年学校を経て、1951年東京教育大学文学部卒業。愛知県半田高校、北海道帯広三條高校、川崎橘高校、川崎高津高校教諭を歴任して現職を終わる。
その後、専門学校の講師を勤める。その間、多くの山に登り、アフリカに遠征してキリマンジャロやルエンゾリに登頂。
教育評論家としてTV出演、週刊誌などでも活躍する。
主な著書
「こんな教師を告発する」「組合教師亡国論」(エール出版)「学校は汚染されている」(潮文社)「恐るべき親たち」(コンパニオン出版)、共著「日教組を斬る」「日本をダメにした学者・文化人」等、著書多数。

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2007年04月16日(月曜日)更新

第29号 すべて明治に

 平成生まれが大学生、あるいは社会人になった。あと二十年経つと、平成の人間が社会の中核になる。してみれば、『なつかしの昭和』をテーマにしたタウンが出現して客を集めているのも当り前のことか。『明治は遠くなりにけり』ではなく、もはや明治は遺跡となってしまったようだ。
 愛知県北部、入鹿池のほとり。樹々の生い茂る丘陵地に明治の建物が点在している。帝国ホテルの玄関があって、静かな喫茶室でコーヒーをのんだ。昔の銭湯があった。兵舎も再現され、ハンガーには軍服。古い作りの商店で土産を売っており、京都市電が、お客を乗せて元気に走っていた。明治に相応しい。正面入口横に木造のトイレ。そしてマーク。でもねえ、村長の小沢昭一さん。せっかく『明治』なのだから、おつりの来るトイレとはいわないが、外観も内部も木造ですべて明治風。マークも道後温泉駅みたいなマークにしたらどうでしょうか。なに、おつりが来ても風流でいいって?
 

2007年04月09日(月曜日)更新

第28号 欲張ってみたい

 二十年前、外の水道管が凍って困ったことがあった。この冬は一度だけ薄氷がはっただけ。桜の開花も早く、この稿を書いている日、はらはらと散り始めている。温暖化のせいなのだろうか、ハウスものの果物も野菜も一切買わない、すべて旬のものだけ、世の方々よ、マイカーの運転も遠慮してほしいものだ。
 冷房も使わず、自然の風を楽しむ。言いたいことは山ほどある。何しろこのままだと、ツバル共和国は無くなり、オランダの国土は今の四分の三くらいになる。日本だって多くの土地が水面下に没する、そのオランダ。ライデン駅からバスで行く通りの西側は、紅、黄、白、紫等々の大海原だ。風に吹かれて波が寄せてくるようだ。すべてチューリップである。キューケンホフ公園に入ると広大な園を埋めつくすチューリップの花、また花。入口右手、売店横にトイレがあった。女性用は紅いチューリップ、男性用は紫で、という望みは、欲張りというものだろうか。
 

2007年03月26日(月曜日)更新

第27号 素朴な壁画

 東京から大阪へ。空の便は高い。新幹線もあるが、やや割高である。夜行バスがある。しかし時間がかかるが安い。安いけれど時間がかかる。誰もがこの二つのフレーズの文末を気にするようだ。
 最近は規制緩和のせいで、ぐんと安い運賃もあるらしい。中距離の都市を結ぶ長距離バスもよく利用されている。しかもこれは昼間。安いし、乗りかえの面倒がないからだろう。
 四国。松山から高知へ行く場合。予讃線、予土線、土讃線と二回も乗りかえなければならない。しかし一時間に一本のJRバスは両都市の直行便である。お茶の産地久万高原を通り、地元の人が四万十川などメじゃないという仁淀川を見ながら走る。快適である。御三戸(みみど)の高知寄り、引地渓谷でトイレ休憩。独立した建物で、壁に直接描いてあるマーク。壁画のつもりなのか。ま、素朴(?)でよろしい。県境の峠を越えてきたので冷えたのか、三十名近くの乗客が一斉に下車したのが愉快だつた。
 

2007年03月19日(月曜日)更新

第26号 撮影禁止(?)

 日本国内の空港で、待ち合わせなどの呼び出しを受けたことは何度かあるが、アイルランドの首都ダブリンの国際空港で「ミスター」付きで呼び出しを受けた時はびっくりした。在住の友人であつた。その友人と市内散策。東京のような巨大ビルがないから、空が広く見え、街全体が押しつぶされずにいきいきしている。通りのあちこちに花屋さん。みんな花好きのようで、ナショナルカラーがみどりというのもうなづける。街も家も人々も、けばけばしさがなく、私の好きな街のひとつである。バスや車に乗るほどでもないので、友と共に歩いて大聖堂へ。そのあと、バイキング時代からの資料が集められている私立博物館へ。館内では撮影禁止。回廊のすみにあるトイレマークを写してすぐにカメラをしまった。しかし二人の警備員が十歩ほどうしろを、何か喋りながらピタリとついてくる。なるほど、そういうことか。私は友人をつついて、さっさと出口に向かった。
 

2007年03月12日(月曜日)更新

第25号 この遊び心が嬉しい

 野花南。幾寅などのわびしい駅名をうつつの耳に聞き、この先に人が棲んでいるのかと案じた。明けそめた狩勝峠の先に十勝平野が広がっていた。三年程住んだ帯広は、寝そべったように広がる平野の街である。五十年ぶりに訪れると、駅を中心にビルが建ち並び、郊外は住宅地。かって教えた少年、少女たちは、還暦を過ぎていた。『旅館』と名のっていた宿は、ビジネスホテル風に改築されて、昔と同じあたりにあった。地下に温泉の大浴場。十勝川温泉からひいているという。私は日本では珍しいモール温泉(地下に埋もれた植物類の醗酵熱による湯)に手足を伸ばしながら、五十年の歳月をふりかえった。この温泉は湯も匂いもとてもやわらかい。浴場入口左手にあるトイレマークも気に入った。帽子の方が男。男女向かい合っている。身びいきで言う。客あってのホテルには、洒落っ気、遊び心が欲しい。第1話の鳥羽のホテルと並んで、このホテルのセンスも嬉しいね。
 
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